🐾犬のへそ天

マスター、いつもの。

ひょこっと、現れた。

テーブルに前足をのせて、まんまるの目でこっちを見上げる。何も言わないのに、伝わってくる。「マスター、いつもの」。常連客の貫禄だ。

テーブルに前足をのせて見上げるボストンテリア

白と黒の、タキシード。ボストンテリアという犬種は、生まれつき正装している。だからどこにいても、ちょっと様になる。バーのカウンターにいても、たぶん違和感がない。今日もうちのコは、我が家のいちばんいい席に、当然のように座っている。

お迎えしたころは、2キロくらいだった。手のひらにのる重さ。それが今は、3倍。脚力もついて、ジャンプして、テーブルにも楽々登ってくる。あの、こわごわ歩いていた子が。

「登っちゃだめ」と言いつつ、内心ちょっと感慨深い。大きくなったなあ、と。毎朝きっかり起こしにくるあたりも、すっかり一人前だ。

こうして堂々と「いつもの」を要求してくる姿を見ていると、どこかでジャズでも流れてきそうな気がする。サックスの低い音、グラスの氷。そこに、タキシードの常連がひとり(一匹)。

……まあ、出てくるのはドッグフードなんだけど。

今日も角砂糖ひとカケ🧊
いつものを、どうぞ。マスターより。