💧 水辺のしらべ

信号機、完成。

赤・黄・青がそろった。

赤と黄と青のシュリンプが同じ画面に並んだ水槽

信号機、完成である。

容器は、ダイソーのフィギュアケース

もとをたどると、小さな容器から始まっている。

ダイソーのフィギュアケースを、逆さまにしたものである。ふだんは台座の上に透明なカバーをかぶせて使うものを、上下ひっくり返す。カバーが器になって、台座が受け皿になる。専用の容器を買うより、ずっと安い。

ここでイエローチェリーシュリンプを飼い始めた。最初は五匹。

水草の上を歩くイエローチェリーシュリンプ

これがなかなか増えなかった。しばらく五匹のままで、そういうものかと思っていた。

ところが一度産卵してからは、あっという間だった。

水槽の底にずらりと並んだイエローチェリーシュリンプ
角の丸い透明な壁が、フィギュアケースの名残り。

底に、黄色が並んでいる。

同じように、ブルー・ベルベットも別の容器で増やした。

青い体のブルー・ベルベット・シュリンプ

メイン水槽を、ミックスにした

うちにはもうひとつ、なんでも入っている球体のガラス水槽がある。そこにはストロベリーチェリーシュリンプが原住民として住んでいる。

黄と青が安定して増えたので、メイン水槽に合流させた。赤がいて、黄が来て、青が来る。

それで、冒頭の一枚になる。

デメリットは、先祖返り

いいことばかりではない。

この三色はすべて同じ種類の色違いなので、普通に交雑する。混ざった子は中間の色になり、それを何代も繰り返すと——最後はシナヌマエビのような、地味な色に戻っていく。

実際、だんだん色の薄い子や、縞の入った子が混じるようになってきた。つまりミックス水槽は、数世代のあいだの楽しみということになる。

ただしこれは織り込み済みである。イエローとブルー・ベルベットの純系は、個別の容器に残してある。メインが地味になっても、種は失わない。

混ぜないと、出てこないものもある

そして、失うだけではなかった。

毬藻のまわりに集まった色とりどりのシュリンプ

交雑した子のなかに、体の真ん中だけ色が抜けて透明になった個体が出た。頭と尾に色が乗って、胴が抜ける。

頭と尾に色が乗り胴が透明に抜けたルリー柄のシュリンプ
このコである。

調べてみて驚いた。これは「ルリー」と呼ばれる柄で、そもそもの始まりが、レッドチェリーシュリンプの選別のなかから「頭と尾だけ赤くて、お腹が透明」な個体が現れたことだったという。それを固定したものが、いまルリーシュリンプという名前で売られている。

つまりうちの水槽で起きたのは、ルリーという品種が生まれたときと同じことだった。混ぜたから出てきた柄である。

色は薄れていく。でも、混ぜないと出てこないものもある。

うちの信号は、本物の青

最後にひとつ。

日本語では昔から緑のことを「青」と呼んできた。青菜、青りんご、青葉。信号もそれで、1930年ごろの法令には「緑信号」と書かれていたのが、新聞などで「青」と書かれて広まり、あとから法令のほうが「青」に書き換えられたのだという。いまも「できるだけ青に近い緑色の光」と定められている。

つまり、街の青信号は緑である。

うちの信号だけ、本物の青が光っている。

それ、信号やん

白状すると、この「信号機」には前がある。

子どものころ、チューリップの歌を間違えて覚えていた。

赤、青、黄色。きれいだなあ。

花の色をそう覚えていて、本気でうっとりしながら歌っていた。それを聞いた親に、こう言われた。

それ、信号やん。

正しくは、青ではない。指摘としては完全に正しい。ただ、こちらは大まじめに歌っていたので、なかなかに苦い記憶として残った。

あれから、ずいぶんたった。

いま、うちの水槽には赤と青と黄色が並んでいる。

今度は、間違いではない。

しかも本物の青である。信号より、よほど青い。

——と、ここまで書いて気づいた。

あの歌に出てくるのは、青ではない。である。

つまりうちの水槽は、いまも信号のままだ。歌には、まだ追いついていない。

ちなみに白いシュリンプはいる。スノーホワイトシュリンプという、これも同じカワリヌマエビ属の品種で、内臓が透けるほど白い。

迎えれば、赤・白・黄色がそろう。四十年越しに、歌のほうが正しくなる。

ただ、そうすると青が余る。信号のほうが壊れる。

飼っているものイエローチェリー/ブルー・ベルベット/ストロベリーチェリー(すべてカワリヌマエビ属)
容器個別=ダイソーのフィギュアケースを逆さにしたもの/メイン=球体のガラス水槽
経過イエローは五匹から。長く増えなかったが、一度産卵してから一気に殖えた
メモ色違いはすべて同種なので交雑する。代を重ねると野生色(シナヌマエビ様)へ戻る。純系を別容器に残しておけば種は守れる。交雑からルリー柄など思わぬ個体が出ることもある。白はスノーホワイトシュリンプ(同じカワリヌマエビ属)

今日も角砂糖ひとカケ🧊
赤、青、黄色。白はいずこ。