秋になると、庭の片隅で紫の実がなる。
コムラサキだ。植えたことを半分忘れているのに、毎年ちゃんと実をつける。手がかからない植物が好きなので、最初から気に入っていた。
「ムラサキシキブ」で売られているものは、たいていコムラサキ
コムラサキは落葉低木で、秋に小さな紫色の実がびっしりとつく。紫式部(ムラサキシキブ)と混同されやすいが、別の植物だ。
ややこしいのは、園芸店で「ムラサキシキブ」の札で並んでいるものが、たいていコムラサキのほうだということ。本物のムラサキシキブは2〜3mまで大きくなって、実もぱらぱらとまばらにつく。庭木としては、まとまりのいいコムラサキのほうが使いやすいので、そっちが流通しているらしい。
見分けるなら、実の付き方がいちばん早い。節ごとに房でびっしりならコムラサキ、ぱらぱらならムラサキシキブ。枝も、コムラサキのほうが細くて枝垂れる。
隣に白式部を植えた。白式部はコムラサキの白実品種で、実が白い。並べると紫と白が交互になって、なんとなくめでたい感じがする。紅白である。
冬に坊主にしても、平気だった
剪定は冬に一度、思い切って切る。
これ、最初はちょっと怖かった。あんなにびっしり実をつけた木を、葉が落ちたあとにばっさりやるわけで、来年ほんとに出てくるのかと思う。
でも平気だった。年末年始に実家から帰ってきた足で庭に出て、コムラサキとシロシキブをがっつり坊主にしたことがある(→年末年始、なんかやった感を出しただけの園芸記録)。あのときは本当に「なんかやった感」を出したかっただけなのだが、春にはちゃんと枝が伸びてきた。
あとで理屈を知って納得した。実がつくのは、その年に伸びた新しい枝なのだそうだ。だから落葉期に古い枝を落としてしまっても、春から伸びる枝がその年の実をつける。むしろ切らないでいると枝が混んで、実の付きが悪くなるらしい。
切っていい木だった。というか、切ったほうがいい木だった。ズボラが正解になる、数少ないパターンである。
実は、鳥のものらしい
実は食べられない。毒ではないけれど、人が食べておいしいものではないそうだ。
そのかわり、鳥は食べる。ヒヨドリあたりが好むと聞く。うちで現場を押さえたことはないので、これは完全に伝聞なんだけれど、そういうことなら気づかないうちに減っていても文句はない。庭に植えた木が、いつのまにか誰かのごはんになっている。悪くない話だと思う。
手がかからない、が最後に効く
うちの庭は、わりと入れ替わりが激しい。
冬のあいだに消えてしまう品種があり(→冬が終わった庭の、香りと復活と。)、果樹を植えるために自分で抜いてしまった木もある(→残ったのは、香る木だけ。)。庭は有限なので、何かを植えるには何かをどかすことになる。
そのなかで、コムラサキと白式部はずっと同じ場所にいる。手がかからないから枯れないし、手がかからないから「これ、どかそうか」という話にもならない。
存在感がないと言われればそれまでなのだが、庭に「秋が来た」と教えてくれる役割を、この2本がずっと担っている。今年もそろそろ、紫と白が並ぶころだ。
🌱 庭の秋の話では、苗は、素直に買うもの。や妖怪モウチョットと、30品種。もあわせてどうぞ。
今日も角砂糖ひとカケ🧊
紫と白が、並んでいる。