船に乗った。
波に酔うか、ページに酔うか。選べるなら後者がいい。かばんには本が入っている。
『本でした』。又吉直樹とヨシタケシンスケの共著だ。

この2人の組み合わせは、『その本は』で経験済み。今作は前より明るくて、読みやすかった。
前作は、読み終えたあとに少し沈む時間が必要だった。今作は、浮かんだまま読み終われる。船の上で読むには、ちょうどいい浮力だった。
読みながら気づいたことがある。これ、大喜利だ。
お題があって、それにどの角度から答えるかの勝負。読みながら「その角度があったか」と何度も負けた。そして長年の謎がひとつ解けた。私がIPPONグランプリを好きな理由は、これだった。お題に対する、角度のいい答えが好きなのだ。
思えば本というものは、だいたいお題と答えでできている。いい本は、答えの角度がいい。
もうひとつ面白かったのが、2人の世界観の混ざり方。
ヨシタケシンスケの軽やかな場面を歩いていたら、ふっと又吉の気配がする。明るい道を手を繋いで歩いていたのに、片方が急に暗がりのほうへ曲がる。でも、手は繋がれたまま。だから怖くない。むしろその瞬間がいちばん面白い。
ちなみにこの日はもう一冊読んでいる。船と待ち時間は、読書をはかどらせる二大装置かもしれない。
船を降りる頃には、読み終わっていた。
📚 読書の話はやな後味には、おいしいごはん。にも。
今日も角砂糖ひとカケ🧊
降りた港より、開いたページのほうが遠かった。